猫と世界分布について~神か悪の使いなのか【後編】~

猫と世界分布について、紀元前9000年~1400年以降までの生息地の拡大と神と呼ばれていた由縁を前編におさめました。
猫と世界分布について~神か悪の使いなのか【前編】~についてはこちらをご覧ください。

さてここからは後編スタートです!
猫の生息地の拡大が起きてからヨーロッパでは猫との関わり方に変化が訪れます。

研究が進みや生息や生態がわかり、共存するのが当たり前の今の時代では考えられない時代背景や歴史を簡単にまとめてみました。

猫の迫害…迷信と悪魔の関係

中世ヨーロッパではネコには特別な力があるという迷信が生まれます。
ですが…
害獣駆除に有能な猫が古代エジプトで神聖視されていたのとは違います。
ヨーロッパでの猫は繁殖繁栄のシンボルとなり、魔術と結び付けられ、儀式に用いられるようになりました。
しかし、特別視や神聖化は次第に変化し別の方向に進むことになります。

暗闇で目が光る、足音のない動き、犬のように従順でない猫は、キリスト教の教会から「悪魔的な存在」と見なされるようになっていったのです。

黒猫が不吉・異端とされる歴史

7世紀には…
教会が異端とみなしたいグノーシス派がのことを「黒猫に姿を変えた悪魔と手を組んでいる」と非難する。

1232年には…
教皇グレゴリウス9世が異端者を「オスの黒猫に姿を変えた悪魔を礼拝する異端者」と告発したりと
猫=悪魔というイメージは強調され続けました。西欧で黒猫が不吉と呼ばれる由縁がおわかりいただけたと思います。

大航海時代には…
ネズミから船を守る益獣として扱われながらも…魔女狩りと関連付けられ、魔女の手先として迫害の対象となる。
猫を飼う・かくまう人までも酷い仕打ちを受けたとされています。

このような猫が受難の時代は18世紀に入るまで続きます。黒猫と不幸を結びつける迷信は今でも根強く残っていいるのが現状です。

猫の評価の高まりは伝染病とネズミにあり

18世紀中ごろ。中央アジア付近に生息していたドブネズミが、東ヨーロッパの川を渡り切り、大量にヨーロッパに侵入してきました。
ドブネズミは下水路や湿った場所を好み、先に生息していたマネズミを駆逐し繁殖します。害獣であるネズミを退治する助っ人として、猫への評価は再び高まっていきます。

この時期は魔女進行が下火になると重なったことも再評価された要因といえます。

19世紀には伝染病の原因である細菌であることが発見され、ネズミへの嫌悪感が強まりました、ネズミを退治するネコは益獣であることを再認識させることができたのです。

イスラム教では好意的な扱い

イスラム教のムハンマドにまつわる逸話には猫は好意的に描かれています。
「蛇に咬まれたときに猫に救われた」「服の袖の上で寝てる愛猫をおこさないために袖を切り落とした」などなど
しかし、これらの逸話は十字軍の兵士がヨーロッパに持ち帰り…猫とイスラム教を結び付け、邪教の扱いをしたことにより迫害があったとされています。

仏教では歓迎されてはいなかったが

ブッダがなくなったとき、すべての動物の中でヘビと猫だけが遺体を囲んで泣かなかったという逸話もあり、歓迎されていなかったとされています。

しかし、中国初期の仏教徒は、猫の静けさを沈思黙考(深く思いをこらし、黙って考えること)する姿とし敬意を払ったといわれています。

まとめ:人の勝手に振り回されていた猫

猫の生息や分布についていかがだったでしょうか?
人がついた迷信、逸話、宗教的思想にこんなに左右され、時代によって神にも、悪の使いにも、益獣にもなった猫ですが…ありのままの飼い猫として扱われるようになるのは近代の話と思うと…
猫の先祖も苦労人であったということがわかりますね。

ちなみに…ベルギーのイーベルでは犠牲になった猫たちを悼むため猫祭りが開催されています。世界中の猫好きが3年に一度開催されるお祭りに集まるそうです。
興味のある方は行ってみてはいかがでしょうか。